2015年02月18日

[艦これSS] ありがとう

「おーい」

「また来たのあんた…」

洗濯物を干し終わってからしばしの休憩といつものようにコタツに入りながらテレビを眺めていたら、
いつものようにノックも無しにあいつが現れた。

こいつ用の湯呑みを棚から出してお茶を注ぐ。
お茶請けに海苔せんべいを選んでコタツに戻った。

「お、悪いな」

「悪いと思うなら自分で用意しなさいよ」

「悪いと思うなら部屋に入って来るなって言わない叢雲が好き」

「はいはい、ありがとうございます」

再び下半身をコタツに潜らせて一息ついてから私もお茶を飲む。
舌に広がる少し強い苦味にせんべいの塩気を乗せて味を楽しんでいると日頃の疲れも忘れられる。
まぁ、その日々の仕事が駆逐艦寮の家事というのが艦娘として良いのだろうかと疑問に駆られる時もあるのだけれど、
目の前のこいつがそれで良いと言うのだからそれで良いのだろう。身体染み付いた寮の仕事も嫌いじゃない。

「ねぇ、あんた」

「なんだ」

「これあげるわ」

そう言って包装された小さな箱をコタツの上に置いた。

「何これ?」

「チョコよ」

「え?!本当?!」

「何でそんなに心底意外そうな顔されなきゃならないのよ……」

チョコレートの入った箱と私の顔を交互に見返す首がにわとりみたいで面白い。

「まさか叢雲からチョコが貰える日がくるとは…」

「あげた!!去年もあげました私ぃ!」

「冗談だよ、ちゃんと覚えてるよ」

何故そこで冗談を使うのか私には全く理解が出来ないが、こいつにとっては私のそういう反応が面白いらしい。
私も反応しなければ良いのに咄嗟にしてしまうのがどうにもいけない。
気持ちを落ち着けるためもう一口お茶を喉に流す。

「でもまだ14日じゃないぞ?」

「まーあんたが今度の作戦で落ち込んでるから、それでも食べて少しは元気出しなさいって事よ」

「え?落ち込んでないよ?超元気だよ?ここに着任してから全ての大規模な作戦は成功させて来たじゃないか。
今回の作戦だって全然心配なんか……」

「嘘よそれ。あんたものすっごく作戦の心配してるもの。私にはそれがちゃんとわかる」

「……困ったな、それじゃあ叢雲に隠し事なんか出来ないじゃないか」

「そうね」

いくら表情や態度で取り繕ってもこいつの考えてることは大体わかる。
ずっと一緒だったんだから。

「今回こそはちょっと無理なんじゃないかって……」

「そんなことは無い」

「は?いやでも…」

ずっと一緒だったんだからそれもわかる。だから私はこいつの背中を蹴り飛ばしてやるのだ。

「あんたなら大丈夫よ。私が言うんだから間違いないわ」

「叢雲…」

俯いた頭を上げ私と瞳を合わせてくる。
それで良いのよ、下や後ろばっかり見てないで前を向いていなければ、自分の進む道をちゃんと見ていなければ足元を掬われてしまう。
余計な不安を纏わり付かせてたら進める道も進めなくなってしまう。

「だからそれ食べてさっさと作戦を成功させて来なさい」

「はは、無茶言うなぁ叢雲は」

「無茶………だけど?」

「出来なくは無い」

「そ。じゃあ頑張りなさい」

ありがとう。

そう小さく呟くと私の提督は部屋を後にした。

私も寮の子達の昼食を作る準備をしないと。
さぁ、忙しくなるぞ。














「は〜、今回はと言うか今回もと言うか……ほんと疲れたよね〜」

「ご苦労様ね」

今回の作戦の愚痴をこぼしながらコタツの上の北上がせんべいに噛り付く。
今日は塩せんべいだ。

「しかし提督も叢雲っちのとこ寄ってから司令部に行けば良いのに」

「何でよ。別に私は構わやしないわよ」

作戦を終わらせたあいつは直ぐに上に呼び出された。
今回の作戦の報告だけど、確かに少しはゆっくりしてから出かければ良かったんじゃないかと思わないでもない。

コンコン

部屋のドアノックに返事をすると文月が顔を出した。

「北上さん、今回の作戦のお話も聞かせてぇ!」

「おーおー、わかったわかった。他の子も揃ってるの?それじゃああたしの大活躍を聞かせてあげましょうかねぇ〜」

相変わらず作戦の後の武勇伝聞きたさに駆逐艦に大人気ね北上も。

「そんじゃああたし行くから」

「あんまり話しを盛るんじゃないわよ?」

「ぐ………」

苦い表情をしながら部屋から出て行く北上と文月を見送ると一気に静かになってしまった。
べつに寂しいわけじゃないけど、早くあいつも帰ってこないかしら。

ドタン!

「叢雲!ただいま!」

「ひゃっ………!!!」

びっくりして変な声が出てしまった。
早く帰って来いとは思ったけどいくらなんでもいきなり過ぎる!

「あ、あんたノックくらいしなさいよ!!いっつもいっつも人の部屋を何だと思って………」

「駆逐艦、叢雲!」

「は、はいっ!」

「貴艦の我が艦隊への功績を称え勲章を授与する!」

「え?ちょっ…」

家政婦みたいなことばかりしているけれど腐っても軍属というか、反射的に身体を整えてしまったが勲章って……

「相変わらずおっぱいちっちゃいな」

私の胸元に勲章を付けながらおっぱいを触られたので殴り飛ばした。
それから少し冷静になって胸元の勲章と見てみると………これは。

「甲種勲章じゃないこれ?!こんなの貰えないわよ!あんたがあんなに欲しがってたやつじゃない!」

「いてて……もう叢雲容赦無いね」

「容赦無く私の胸触ったあんたに言われたくないわよ!ってそうじゃなくてっ!」

ダメだダメだ、だからこういう反応をしちゃいけない。冷静になるのよ私。

改めて勲章を見返すが間違いない。
私のような駆逐艦に不釣合いな艶やかに光る勲章だ。

「すっげー欲しかった。で、ちゃんと司令部から頂いて手に入れられた」

「だからあんたがちゃんと持ってなさいよっ」

「あげたかったんだよ叢雲に……だから欲しかったの」

「ばば、馬鹿じゃないのっ!」

「馬鹿だけど馬鹿じゃねーよ。俺の艦隊だけど、艦隊を育てたのは叢雲と一緒だからさ」

「っ………」

「だからそれは叢雲にあげるの」

「駆逐艦なんかにこんな大それた勲章なんて似合わないわよ」

「大丈夫だよ似合ってる。艦隊の皆もそう思うって、叢雲いつも頑張ってるんだから」

「ていうか何か恥ずかしい、もうっ」

何か目頭も熱くなってきたのであいつから顔を反らした。
すごく嬉しいんだけど静まれ!私の涙腺!

「叢雲」

「あにぃよ?」

ほらもう鼻声になってる。

「ありがとう。今までもこれからも」

ばかやろーーーーーーーーっ!

ダムが決壊したので私はコタツに頭から突っ込んだ。
指先で撫でる勲章の感触を確かめながら……












E5甲クリアしました。
終わってみれば(ry






わらすいさんごめんなさい.jpg




わらすいさんゴメンナサイ・・・
posted by 夜月姫野 at 13:48| 群馬 ☔| Comment(0) | オナニー小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月14日

艦これオナニー短小説その2

前回大好評だった(妄想)艦これ短小説その2

短小説とか良いながらちょっと長めになってしまった。
今回はラブコメ………と言うかコメディ路線で。



鈴谷のハッピーバレンタイン大作戦!


「熊野、熊野、熊野ぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

息を切らせながら熊野の部屋のドアノブを乱暴に回して扉を開け放つ。
そこには可愛い可愛い私の妹がっ……………

「一捻りで…………黙らせてやりますわ!!!!」

「ふぎゃんっ!!」

顔面にパンチが飛んできた。

「痛いしぃ〜…」

「鬱陶しいですわっ!…もう少しレディとして落ち着きを持ってくださらないかしら?」

潰れた鼻をスリスリして一生懸命痛みに耐えていると妹様からの厳しいお言葉が……
レディとしてそちらも暴力も振るわないで頂きたいが、言ったらもう一発殴られそうなので飲み込んでおく。
鈴谷、お姉ちゃんだし…我慢我慢……

「それとノックくらいしてくださらないかしら?デリカシーがありませんのね」

「はい、今後気をつけます……」

この子にお姉ちゃんぶる日は遠い。果てしなく……
しかしここでへこたれる鈴谷さんではない。べつに妹に殴られたくてここに来たわけではないのだ!

「それで、何か私にご用件でも?」

「良くぞ聞いてくれた妹よっ!」

あ、もの凄く嫌そうな顔してる。係わりたくないって顔だ……
しかし妹よ、こっちはそうはいかないのだよ。

「じ、実はさぁ…」

「その話し長いですの?」

「あ、はい。でも手早く済ますんで」

「帰ってくださる?」

「お願いします聞いてください…」


遡る事 ○八○○(マルハチマルマル) 提督の執務室

「ちーっす提督ーぅ」

「おぉっ鈴谷っ、おはよう…」

ん?何か提督の様子がおかしい…気がする……なんだかそわそわしてる感じ。
うーん…ま、いっか。それより…
視線を書類の海へと移す。秘書艦鈴谷の戦場はそこなのだ。

「さてさて、お仕事いたしましょう」

自分の机に腰を落ち着けて資材帳簿にペンを走らせる。
ふと提督の方を見てみると視線が合った。にひひ〜♪鈴谷の恋人スマイルプレゼント。

「提督ー、今は仕事してねー」

飴と鞭。鈴谷を見てくれるのは良いけど仕事は仕事。ちゃんとしないと。
愛されてるって大変だね〜……

「あ、ああわかってる……」


○九二七(マルキュウフタナナ)

「てーいとくーっ!」

執務室に勢い良く入ってきた金剛さんがズカズカと提督の机へと詰め寄る。
今日もバッチリと決まった完璧なメイクにサラリと長い髪がツヤツヤ光っている。

「おはよう金剛」

「Good morning、提督にPresentsネー!」

ズビシッ!っと金剛さんが掴んでいた紙袋を突き出した。
それを気圧されながらも提督は受け取った。

「Valentineチョコレートネー!勿論手作りデース!」

「お、ありがとう。今開けて見ても良いか?」

満足げな顔の金剛さんの前で紙袋を開ける提督も心なしか嬉しそうだ。
そして鈴谷も紙袋から出てくるチョコレートに集中する………

ん?何だあれ?

「金剛、何かこれ欠けてないか?」

そう、袋から出てきたハート型のチョコレート……
であるはずの物がばっくりと一部分弧を描くように欠けていた。

「比叡に食われたネー。でもNo problem。味はFantasticネー」

「そ、そうなんだ……比叡は今どうしてるんだ?」

「榛名と霧島にお仕置きさせてマース」

紐で縛られ吊るされて「ヒエー!」とか言ってブラブラさせられてるイメージがパっと浮かんだ。
大変だなぁ比叡さん……合掌。

「と、とりあえずこれは休憩の時にでもありがたく頂かせてもらうよ(…チラ)」

お?何か提督が今こっち見たぞ?
鈴谷嫉妬とかしてないよー。大丈夫だよー提督。


一五三三(ヒトゴーサンサン)

「提督さーん♪」

「ちょっと五航戦。私より前に出るなんてなめてるの?」

「せんぱ〜い、空母戦は先手必勝だよ〜」

加賀さんと瑞鶴さんが競うように執務室に入ってきた。
今日も何時もどおり口喧嘩している。喧嘩するほど仲が良いって言うしね。
二人を微笑ましく観察することにする。

「ふん、あなたと違って胸部装甲が重くてね」

「むかっ、私だって翔鶴姉みたいになるし!」

「ちょっとちょっとっ、二人とも落ち着いて!」

ヒートアップする二人を見て流石に提督がストップに入る。
仮に鈴谷が止めようとした場合、絶対にぶっ飛ばされるので提督は凄いなー。

「チョコ作って来たんだ〜。翔鶴姉に手伝ってもらったんだけど……ほら♪」

「これはトリュフか。一口サイズだし、疲れたら仕事中に摘まめるな。ありがとな」

「手作りチョコの基本ね。五航戦らしいわ」

「む、じゃあ先輩のはどうなのよ?」

促された加賀さんが綺麗にラッピングされた箱を取り出した。
一見しただけでもその中身への力の入りようもわかる。

「鎧袖一触よ。心配いらないわ」

丁寧にラッピングを剥がすと加賀さんがその箱を開ける。


《赤城が美味しく頂きました!!》


「ぶふーーーーーっ!!先輩それ、それ何ですかーww」

加賀さんが開いた箱の中には、一枚の紙切れを残して他には何も入っていなかった。
赤城さん……怪盗でも始めるつもりなのかな?
それを手に取ると加賀さんはビリビリと破いてしまった。
床に舞い散る紙切れ………多分あとで掃除するのは私なんだけど、
その文句を言えないくらい加賀さんから怒りのオーラが迸っている……

「おい?加賀?大丈夫か?俺お前が頑張ってくれたってちゃんとわかってるからな?だからここは落ち着…」

「ニヤニヤしてんなコラ…」


【このあと滅茶苦茶爆撃した(加賀さんが)】


「少し、赤城さんのところに行ってきます」

「そ、そうか……すまないがそこで黒こげになって転がっている瑞鶴も連れて行ってくれ」

「…………」

加賀さんは無言で瑞鶴さんの襟首を掴み取ると、それを引きずりながら部屋を後にしていった。
うひー……加賀さんは怒らせたらダメ、ゼッタイ。
瑞鶴さんもこれに懲りてもうちょっと煽る行動を自制すれば良いと思います。

「う……どっと疲れたな。さっき貰ったチョコでも食うかな(…チラチラ)」

あっれー?提督またこっち見てるよー……
もしかして私からもチョコ欲しいのかなー?


二○四七(フタマルヨンナナ)

「トリック・オア・トリート!」

凄いのが来たww

「夕立、今日はハロウィンじゃないぞ」

「えっ!?」

完全にお菓子を貰う気で来た夕立がたじろぎ表情を歪ませる。

「で、でも提督さんは今日たくさんチョコ貰ったって聞いたんでちょっとくださいっ!」

ただでは帰らない徹底抗戦の構えだった。
図々しいのだろうが夕立可愛いから許してしまえる。

「わかったわかった、食べ切れなくて残ったら後であげるから、今日は大人しく寝なさい」

「うう…夕立それで我慢します………」

途中まで景気良く身振り手振りで訴えかけていた夕立が萎みながらも引き下がる。
夕立は観察していて飽きないから鈴谷は大好きだ。
トボトボと引き返す後ろ姿に愛着を感じていると、また提督の視線をひしひし感じた。

「でもなー、俺甘いもの大好きだから全部食べちゃうかもなー。
もっとチョコが貰えたらなー(…じとー)」


もしかした!
今日はバレンタインデー、それは前々から鈴谷だってわかっていた。
だけど鈴谷はチョコなんか作れないし、既製品も味気なくて嫌だったので実は用意していない。
しかし朝からの提督のチョコくれアピール………

チョコあげなかったら提督がっかりするよね……
あれ?鈴谷やばくない?ピンチじゃないこれ?デスクワークなんてしてる場合じゃないよ!

「提督!鈴谷ちょっと早退しますっ!」

「お、おいっ」

床に穴を空ける勢いで撤退。
後ろで提督が何かを言っているが振り向いてはいけない。


二一○○(フタヒトマルマル) 熊野の部屋

「そしてここに至るわけですよ…」

「昨日私に愛さえあればチョコなぞいらない!と開き直っていたのは
目の前にいる方だったと記憶していますが」

うわーすっごい呆れられてるー。
熊野は「はー…」と大きく隠しもしない溜め息をつくと「それで?」
と続きを促してきた。

「提督にチョコを作ってあげたいんだけど。熊野はチョコ作れる?教えて欲しいんだけど…」

「残念ですけど私も作れませんわ。まぁでも、そういうのが得意な方は知っておりますのよ」

「マジで?!教えて!!教えて!!」

熊野の両肩をガッシリと掴み頼み込む。
ぐわんぐわんと熊野の身体を揺すっていると面白いくらい頭が前後に動いた。

「わかりましたっ、わかりましたから離してくださる!?」

崩れた服を手直ししながら、一度私と距離を取る。
む、お姉ちゃん悲しい。こんなにも妹が好きなのに鈴谷の愛伝わらなさ過ぎ…
でもそのじと目も可愛い。

「あなたはそのまま厨房に向かいなさいな。私はあの人に頼んでおきますので。
それとサボタージュした秘書の仕事は私が代わりにやっておきますわ」

わーお!なんて出来た妹なんだろう。あまりの嬉しさに抱きしめてほっぺにちゅーしてあげたら、
顔を真っ赤にして部屋を飛び出していった。うーん可愛い。

「さてと言われたとおり厨房に向かいますか」

頼れる妹がいることに幸せを感じながらその足を厨房へと進ませる。
しかし、熊野の言うあの人とは誰のことなんだろうか?


二一一○(フタヒトヒトマル) 厨房

「単なる戦艦の時代は終わったな」

全く予想とは真逆の人がそこに現れた。
桃色の可愛らしいフリルのエプロンという姿である。

「これからは女子力の時代だ。わかるか鈴谷」

日向さんの口から女子力という言葉が出るとは夢にも思わなかったけども、
どうやら熊野の言っていた人は目の前の人らしい。
喋りながらも手際良く必要な調理器具や材料を準備しているところを見る限り安心して良いのだろうけど、
それにしてもギャップが凄い。

「よし、作るチョコは私の方で決めておいたが、良いか鈴谷?」

「あ、はい。手解きお願いします」

おっとおっと、呆気に取られている場合ではない。自分に活を入れる。

「お前も提督に見栄くらい張りたいだろう、ちょっと凝ってガトーショコラを作るぞ」

ガトーショコラってどういうチョコだっけ?鈴谷に作れるのかな?
と思考を巡らせて難しい顔をしていると「大丈夫、別に難しくないぞ」と頼りになる一言をかけてくれた。

「まずは下準備だ、チョコを刻んで湯せんで溶かすぞ。刻むときは
包丁を斜めに入れ大きさを均等にして刻むんだ」

日向さんがまな板で実際にザクザクとリズミカルにチョコを刻んでいく。
その後やってみろと促してまな板の前に立たせられる。
こうして鈴谷のチョコ作りは始まった……

………

「鈴谷、湯せんくらいはわかるよー」

「おい、火力を落とせ。沸騰させるつもりか」

「え?違うの」

「それじゃあ熱が入りすぎて風味が飛ぶ、50℃くらいでやるんだ」

………

「オーブンは使う前に予熱するんだぞ」

「何℃っすか!?」

「160℃、それで下準備は終わりだ」

「わかりました師匠!」

………

「さっき溶かしたチョコを持って来い。それもボウルに入れて混ぜ合わせるぞ」

「ほーい」

「終わったら型に流して焼き上げる」

「ういっす師匠!」

………

「最後に砂糖を振り掛けてっと……」

十分に熱を冷ましたチョコの上に茶こしで粉雪のように砂糖を振り掛けて、
鈴谷の初めての手作りチョコは完成した!

「で、出来た……」

「鈴谷、食べてみろ。味見も大事だぞ」

言われていくつか作った内の一つを一欠けら口に入れてみる。
甘い香りが漂い舌に染み込むようにチョコが溶けていく。

「どうやら美味く出来たみたいだな」

鈴谷の顔を見て日向さんが表情を少し柔らかくした。

「師匠のおかげっすー」

チョコは自分で作ったものとは思えないくらい美味しかった。
美味しいのが嬉しいと言うよりも、それを自分で作ったと言う達成感による嬉しさにピョンピョン跳ねて喜びを表現していると「大げさだ」と言われた。
熊野の分も作ったので後であげよう。きっと美味しくてあの子もピョンピョンしてくれるはずだ。

「もう時間も遅い、さっさと渡して来い。後片付けは私がやっておく」

「はーい。今日はマジでありがとうございました!」

一礼するとチョコを包装して提督の執務室へと向かった。
師匠……何から何までありがとうございます……


二二一○(フタフタヒトマル) 提督の執務室

「てーいとくー!」

チョコも用意して、もう恐れるものは何も無いといった状況。
ノック無しで体当たりするように扉を開けて提督へと突撃する。

「提……あれ?」

寝てる……
机に突っ伏して静かに寝息を立てていた。
うーん、今日はチョコを渡しに来る艦娘達の対応もあったし疲れて力尽きたのかな?

「確かここに……あった」

提督が新人の頃に使っていた布団を床に敷く。
このままだと提督が風邪を引いてしまう。

「よいしょっと」

起こさないようにゆっくり提督を机から引き剥がし、そっと引きずり布団へと身体を運ぶ。
その上に毛布をかけて……これで大丈夫だろう。

「せっかく鈴谷がチョコ作って持ってきたのに……」

起きてないんじゃなー。仕方がないのでチョコの入った紙袋は提督の机の上に置いておこう。
バレイタインなのに恋人らしく過ごせなかったな……
熊野に怒られたのも無理ないか、毎日会ってるからイベントを特別視してなかったのは反省だね。

「ハッピーバレンタイン提督…」

鈴谷は机にチョコを置き、自分の部屋へと戻った。


翌朝

「ちーっす提督ーぅ」

「うう………鈴谷………」

あ、あれ?何か提督が凄い沈んでる。この世の終わりみたいな顔してるよ。
鈴谷のあげたチョコがあまりに不味かった?
いや、そんなはずはない、味見もしたし師匠にも食べてもらってOK貰ったし…

「ど、どしたの提督…?」

「鈴谷からチョコ貰えなかった………死にそう」

はえ?確かに私は机の上に置いたはずだ。提督の机を見てみると紙袋は無い。
気付いてないってわけでもない。じゃあいったい……

「鈴谷提督が寝てたから机の上にチョコ置いて帰ったんだけど……無かった?」

「鈴谷チョコくれてたの?うーん、でも無かった……死にたい」

提督が死にそうになってる。こんなことで死なれては困る!非常に!
それだけ私のことが好きでチョコを期待していたのかと思うと嬉しいが、今は悦に浸っている時ではない。

「提督さーん、今日のカスガダマ沖海戦まだー?」

「おーぅ、夕立お早う」

「鈴谷お姉ちゃんお早うございます!」

がっつり90度腰を折り曲げて挨拶をする夕立。
その頭の位置が元に戻ると口の周りが汚れていることに気付く。
鈴谷はハンカチを取り出すと夕立の隣に並び口の周りを拭いてあげる。

「ありがとうっぽい!」

「夕立も女の子なんだからもちょっと綺麗に食べないとダメだよー」

「う……気をつけます…」

と、夕立の口周りを吹いていると手に持った物に気付く。
何か私が提督にあげたチョコの紙袋に酷似している。もしかしてこの口周りの汚れ…

「夕立、その紙袋……」

「提督さんが食べ残したチョコっぽい!」

「なん……だと……」

思わずその場でふら付いてしまった。
夕立はそのチョコを食べ残りだと思って頂いていた訳か。
確かに昨日食べ残ったらチョコを貰うって提督と約束はしていたけども……

「あれっ?食べたらいけなかったっぽい?」

その場の雰囲気を感じてか夕立が表情を曇らせる。
仕方が無いなと、その夕立を抱いて頭を撫でてあげる。

「本当はそれ鈴谷が提督に作った分なんだぞー」

「ご、ごめんなさい!」

「夕立、そのチョコ美味しかった?」

「とっても美味しかったです!」

おーぅ……自分が一生懸命作ったチョコが褒められるって嬉しいなー。苦労して作った甲斐があったよ。
まぁ、本当なら提督に食べて欲しかったけどさ。

「そうかそうか、なら良かった……」

「夕立ずるい!俺も鈴谷のチョコ食べて優しく抱いてもらって撫で撫でされてハスハスしたい!」

後ろの方で提督が乱心し始めた!
最後のハスハスってなんだよ!?そんなこと夕立してないし!

「まだちょっと残ってます!」

「うおーその紙袋を俺に寄越せー!」

「うわっ!きんもーっ!」

夕立を守るように抱き寄せ、片足を上げて迫りくる提督の顔面を足の裏で受け止める。

「提督ぅー、これはもう夕立にあげなよ。また新しいの作ってあげるからさー……
って鈴谷の甲板ニーソ、そんなに触んないでって!もー!」

夕立が見ているところで何してくれてんだこの提督は!
足を這う提督の手がくすぐったくて、そのまま足に力を入れて押し倒した。

「くわっ………見える!見えるぞ〜!」

ギラついた視線を向ける提督。
まずい!あのローアングルからだとスカートの中身が見えてしまう!

「やだ…マジ恥ずかしいって…見ないで…も〜テンション下がるぅ〜」

夕立を連れて提督と距離を空ける。
しかし倒れたまま視線をこちらに向けて床を這うように追ってくる提督。
これは非常にきもい!

「鈴谷お姉ちゃん提督が怖い!」

「うりゃー!」

夕立を守るためにも提督を落ち着かせなければならない。
迫撃してくる提督の横っ腹に思い切り蹴り込んだ!

「ぐエーーー……!」

変な断末魔と共に提督がぐったりと動かなくなる。
それをつんつん突いて反応を確認する……動かない。

悪は潰えた………
恋人とは言えきもいものはきもい。愛し合った仲とはいえ鉄拳も辞さないのだ!
出したのは足だけど……

「ほら今のうちに夕立はもう帰りな」

「そうしますっ。鈴谷お姉ちゃんありがとう!」

夕立を返すと提督を引きずり再び布団の上へと運ぶ。
もう本当に馬鹿な提督だなー。今日の仕事どうするんだよー……動けなくしたのは鈴谷だけども。
提督の分のチョコも作っておかないとまたさっきみたいに暴れるかもしれないし、
かと言ってこのまま執務室を離れるわけにも………

ガチャ

「提督に軍令部よりおしかりのご連絡ですわ」

「あ」

「へ?」

執務室に入ってきた妹が固まったままでこっちを見ている。
なんというベストタイミングで来てくれたんだ我が妹よ……
姉として少し無責任な気もするが今日も熊野に執務室で仕事してもらうことにしよう………

「助けて熊野ぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

「ひゃあー!」

まずは師匠のとこにに行かないと………一人で作れる自信はまだ無いし。
これからちゃんと料理も勉強して、美味しいって言ってもらえる物が作れるようになりたいな。
今日もなんだか忙しい1日になりそうだ。




本日のアップデートで遂に艦娘とケッコンカッコカリが出来るようになりますね!
今夜は夜勤なので僕の結婚は明日以降になるとは思いますけども。

そうです鈴谷と結婚ですよ!
婚約(レベルMAX)は今月の2日に済ませました。

艦これ-005.png

いやー大変だったけど面白かった。
航空巡洋艦のレベリングは独自の方法でやりましたが達成感凄い………
あと日に日に鈴谷が好きになっていく。
クリスマスと同じでバレンタイン爆ぜろっ!とか思ったことは無いけど、こんなに嬉しいバレンタインは初めてだよ。
と言っても仕事があるんだが。

つーか外雪凄い会社行けるのかな?
この前の雪の日は運転するのも危険だったので休みもらったけど、2回目の休みはもらいたくないな。
スケジュール的にも。皺寄せが来るのは嫌だし。

天候は荒ぶってますが提督の皆さんが素敵なバレンタインを過ごせますように。

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posted by 夜月姫野 at 13:04| 群馬 ☔| Comment(0) | オナニー小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月20日

艦これオナニー短小説

小説に全く興味が無い方は下まで飛ばしてください。
つっても艦これの話しなわけだが………

ご存知だと思いますが、艦これにおける「解体」とは武装を解体して普通の女の子に戻る。ということらしいです。






First fleet girl.


「提督、私を解体しなさい」

「叢雲……冗談だよな?」

「私を解体しなさい…」

途端に提督と二人だけの執務室が静寂に包まれた。。
何故この人はこんなに悲しそうな顔をしているのかしら。
私の能力はもう今の最前線では他の艦に劣る。言ってしまえば役立たずなのに。
何故この人は………

私は提督の足を引っ張りたくなかった。
激化する戦場に出ることも適わず、ただこの基地で過ごす毎日…
この基地に住める艦娘がいっぱいで、提督が困った顔でやりくりしているのもこれ以上見ていられなかった。
戦果を上げられない私がここから居なくなれば提督は喜ぶと思ったのに……

「叢雲…」

提督は自分の帽子を取るとそれをやさしく私の方に放り渡してきた。
反射的にその帽子を掴み取る。近くで見ると結構痛んでいる。

「何よ、これ」

提督がなんで私に帽子を渡してきたのか図りかねた。

「お前がここから居なくなると言うのなら、俺も提督を辞める」

「なっ………何を言っているのよ?!そんなの許されるわけないじゃないっ」

手に持った帽子を強く握り締めながら、私は提督に詰め寄った。

「私はあんたの邪魔になりたくないのよ!私が居なくなれば母港の空きが出来るじゃない!それで……」

「叢雲、お前と初めて会ったあの夏の暑い日を覚えているか?」

提督は私と目をじっと瞬きをせずに見つめていた。
悲しそうな顔をしているのに、その瞳だけは力を失ってはいなかった。
そういう目をこの人はしていた。

「着任したばかりで右も左もわからない俺のそばにずっと居てくれて、お前が連れて行ってくれたあの海域を、一緒に見たあの暁の水平線を覚えているか?」

覚えている。絶対に忘れるわけが無い。私と提督の最初の思い出だ。
この基地に新任の提督がやってくると言うから、大本営の命令により私はこの基地に着任し、会ったのだ。
提督と………

最初は冴えないやつだと思った。でも私を選んでくれた人。
一緒に頑張っていこうと自分に誓った。この人の為に私の持てる力を全部尽くそうと。
でも、もう私はこれ以上強くはなれない。居るだけで艦隊の邪魔になる存在なんだ。
それならここから消えたほうが良い。今の私がこの人の為に唯一役立てる選択。
なのに何故この人は提督を辞めるだなんておかしなことを言うのかしら?

「あの日の水平線の輝きに俺は誓った。お前は絶対に沈めない、叢雲とこの戦争を生き抜くことを誓ったんだ」

「でも私はもうあんたの役には立てない!」

「ふざけんなっ!!自分で勝手に決め付けるんじゃねぇよ!」

今まで見たことのない程の怒気を孕んであの人は大声を上げた。
びっくりして萎縮してしまう。

「役に立たないだなんて、そんな訳無いだろ……戦場で活躍するのがそんなに偉いのかよ」

「私は軍艦だもの………足を引っ張りたくないのよ……」

「じゃあなんでお前泣いているんだよ?」

え……?

提督に指摘されてそっと頬を触ってみると、指の先に暖かいものが触れた。
自分では気付かなかったけれど、手で握り締めた帽子に落ちた部分に涙の雫が染み込んでいた。
自分が涙を流している事を自覚した途端に、私の頬を伝う涙の量は幾分か増した。

「解体しろなんて言うなよ……お前だってここに居たいって証拠だろ、その涙は……」

「違っ………違うのよこれは……」

両手で必死に涙を拭う。こんな物は何かの間違いで私は泣いてなんかいないと思いたいのに。
溢れる涙は勢いを増し、視界が霞んでいく。
その隙を突いてあの人は私に近寄り身体を抱きしめた。その抱擁は力強くてちょっと痛い…

「お前はここに居て良いんだ、居なくなる必要なんてどこにも無い……いや、ちょっと違うな……」

ようやく涙を拭き終わり、顔を上げると見下ろす提督の瞳は涙を流していた。

「お前はここに、俺のそばに居ないと駄目なんだぞ……叢雲」

涙は流しているけれど、その顔は優しい笑顔。
その言葉を聞いて…私の心に刺さっていたトゲが抜けたような気持ちだった。
ふわりと私の頭を撫でる提督の顔は涙でもうぐしゃぐしゃで、かっこよくなんて全然無くて……
それでも私の大好きな提督で、手に持った帽子を目深に被せてあげて…離れたくなくてその胸に顔を埋めた。

「あんたがそう言うなら……仕方ないから残ってあげるわ……」

何よこれ……さっきまで悩んでいた私が馬鹿みたいじゃない……

「ありがとう………叢雲」

ガチャンっ!!

「きゃぁっ?!」

「な、何だっ?!」

急に執務室の扉が勢い良く開き、雪崩れのように他の艦娘達が転がってきた。
反射的に提督から身体を引き剥がして、泣き腫らした顔を手のひらで隠す。

「いたたた、あんなに後ろから押すからぁ…駆逐艦……ウザい……」

「な、ボクとやり合う気なの?かわいいね!」

「北上さんを傷つけるのは、誰?」

「お前ら……ちょ、今の盗み聞きしてたのかっ?!」

「馬鹿ね。あんな大声上げてたら盗み聞きも何もないでしょう?」

「提督ぅ、意外と甘えん坊なのですねぇ」

顔を覆った指の隙間から提督を覗き見ると、顔を真っ赤にして取り乱していた。

「ぷっ、ふふふっ」

それがなんだか可笑しくって思わず笑ってしまう。

「叢雲?笑ってないで、お前からも何とか言ってくれよ」

これからもこんな楽しい毎日が続くなら良いなと思った。
この幸せな日々と、提督との時間を守ろう…私が居ないとこの人は駄目みたいだから…




だから私は《これから》の為に《今まで》のように提督にこう言ってあげるのだ。



「落ち着きが無いのねぇ、大丈夫?」







最近最初に選んだ艦娘の叢雲のレベルが50になって感慨深いものがあったので書きました。

艦これ-003.png

艦これを始めたのが8月21日のラバウル基地サーバ−稼動の夏でした。
あの日は最初の艦娘を選択する画面で五月雨にしようか叢雲にしようかで10分くらい悩んでた記憶が……
結局ツンデレっぽい叢雲を選択したのですが………(いつものパターン)

当事はネコパンチ画面などすでに抽選方式になっていて、仕事が終わって部屋でゆっくり遊んでいて「あぁ、そう言えば今日はサーバー開放の日だったな」って23時過ぎくらいにダメ元でアクセスしたんですよ。
そうしたらサーバー選択画面ラバウル空いてる入る→名前決める→艦娘選ぶ→気付いたら母港執務室に俺は立っていたwwww

なんかよく分からないうちに提督になっていたんですよねw
壮絶な抽選に挑んでいる皆様には本当に申し訳ない気持ちです。

レベルが50になった叢雲。
嫁艦というのとはちょっと違いますが、愛着がすごくあり相棒みたいな大事な子です。
記念に母港でまったりといちゃつく時間というのを取ったんですが、最初に出会ったあの日から随分と経ったんだなぁって……


皆様は最初の子を大事にしてるでしょうか?
僕の周りではレベル90台突破だったり轟沈済みだったりと様々ですがね。


僕の知り合いで中々着任出来なかった二人が先週、今週と無事着任出来た様で我がことのように嬉しいです。
これからの盛り上がりにも期待したいですね。


だけど秋イベントのアイアンボトムサウンドみたいなだけはマジで簡便して欲しいです。
あれ、そのまま資材尽きて攻略不可になったら俺艦これ引退しようって本当に思ってましたからね。
あれはやった人にしかわからないですが……
実際そう思ったのは僕だけじゃないし、大事な子を沈めて辞めてしまった人もけっこう居ますし。
ハッピーエンド主義の俺としては笑顔でニコニコな艦これライフを送りたいですわー。




作中の補足

北上「いたたた、あんなに後ろから押すからぁ…駆逐艦……ウザい……」

皐月「な、ボクとやり合う気なの?かわいいね!」

大井「北上さんを傷つけるのは、誰?」

五十鈴「馬鹿ね。あんな大声上げてたら盗み聞きも何もないでしょう?」

愛宕「提督ぅ、意外と甘えん坊なのですねぇ」
posted by 夜月姫野 at 23:46| 群馬 ☔| Comment(0) | オナニー小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする