2015年02月18日

[艦これSS] ありがとう

「おーい」

「また来たのあんた…」

洗濯物を干し終わってからしばしの休憩といつものようにコタツに入りながらテレビを眺めていたら、
いつものようにノックも無しにあいつが現れた。

こいつ用の湯呑みを棚から出してお茶を注ぐ。
お茶請けに海苔せんべいを選んでコタツに戻った。

「お、悪いな」

「悪いと思うなら自分で用意しなさいよ」

「悪いと思うなら部屋に入って来るなって言わない叢雲が好き」

「はいはい、ありがとうございます」

再び下半身をコタツに潜らせて一息ついてから私もお茶を飲む。
舌に広がる少し強い苦味にせんべいの塩気を乗せて味を楽しんでいると日頃の疲れも忘れられる。
まぁ、その日々の仕事が駆逐艦寮の家事というのが艦娘として良いのだろうかと疑問に駆られる時もあるのだけれど、
目の前のこいつがそれで良いと言うのだからそれで良いのだろう。身体染み付いた寮の仕事も嫌いじゃない。

「ねぇ、あんた」

「なんだ」

「これあげるわ」

そう言って包装された小さな箱をコタツの上に置いた。

「何これ?」

「チョコよ」

「え?!本当?!」

「何でそんなに心底意外そうな顔されなきゃならないのよ……」

チョコレートの入った箱と私の顔を交互に見返す首がにわとりみたいで面白い。

「まさか叢雲からチョコが貰える日がくるとは…」

「あげた!!去年もあげました私ぃ!」

「冗談だよ、ちゃんと覚えてるよ」

何故そこで冗談を使うのか私には全く理解が出来ないが、こいつにとっては私のそういう反応が面白いらしい。
私も反応しなければ良いのに咄嗟にしてしまうのがどうにもいけない。
気持ちを落ち着けるためもう一口お茶を喉に流す。

「でもまだ14日じゃないぞ?」

「まーあんたが今度の作戦で落ち込んでるから、それでも食べて少しは元気出しなさいって事よ」

「え?落ち込んでないよ?超元気だよ?ここに着任してから全ての大規模な作戦は成功させて来たじゃないか。
今回の作戦だって全然心配なんか……」

「嘘よそれ。あんたものすっごく作戦の心配してるもの。私にはそれがちゃんとわかる」

「……困ったな、それじゃあ叢雲に隠し事なんか出来ないじゃないか」

「そうね」

いくら表情や態度で取り繕ってもこいつの考えてることは大体わかる。
ずっと一緒だったんだから。

「今回こそはちょっと無理なんじゃないかって……」

「そんなことは無い」

「は?いやでも…」

ずっと一緒だったんだからそれもわかる。だから私はこいつの背中を蹴り飛ばしてやるのだ。

「あんたなら大丈夫よ。私が言うんだから間違いないわ」

「叢雲…」

俯いた頭を上げ私と瞳を合わせてくる。
それで良いのよ、下や後ろばっかり見てないで前を向いていなければ、自分の進む道をちゃんと見ていなければ足元を掬われてしまう。
余計な不安を纏わり付かせてたら進める道も進めなくなってしまう。

「だからそれ食べてさっさと作戦を成功させて来なさい」

「はは、無茶言うなぁ叢雲は」

「無茶………だけど?」

「出来なくは無い」

「そ。じゃあ頑張りなさい」

ありがとう。

そう小さく呟くと私の提督は部屋を後にした。

私も寮の子達の昼食を作る準備をしないと。
さぁ、忙しくなるぞ。














「は〜、今回はと言うか今回もと言うか……ほんと疲れたよね〜」

「ご苦労様ね」

今回の作戦の愚痴をこぼしながらコタツの上の北上がせんべいに噛り付く。
今日は塩せんべいだ。

「しかし提督も叢雲っちのとこ寄ってから司令部に行けば良いのに」

「何でよ。別に私は構わやしないわよ」

作戦を終わらせたあいつは直ぐに上に呼び出された。
今回の作戦の報告だけど、確かに少しはゆっくりしてから出かければ良かったんじゃないかと思わないでもない。

コンコン

部屋のドアノックに返事をすると文月が顔を出した。

「北上さん、今回の作戦のお話も聞かせてぇ!」

「おーおー、わかったわかった。他の子も揃ってるの?それじゃああたしの大活躍を聞かせてあげましょうかねぇ〜」

相変わらず作戦の後の武勇伝聞きたさに駆逐艦に大人気ね北上も。

「そんじゃああたし行くから」

「あんまり話しを盛るんじゃないわよ?」

「ぐ………」

苦い表情をしながら部屋から出て行く北上と文月を見送ると一気に静かになってしまった。
べつに寂しいわけじゃないけど、早くあいつも帰ってこないかしら。

ドタン!

「叢雲!ただいま!」

「ひゃっ………!!!」

びっくりして変な声が出てしまった。
早く帰って来いとは思ったけどいくらなんでもいきなり過ぎる!

「あ、あんたノックくらいしなさいよ!!いっつもいっつも人の部屋を何だと思って………」

「駆逐艦、叢雲!」

「は、はいっ!」

「貴艦の我が艦隊への功績を称え勲章を授与する!」

「え?ちょっ…」

家政婦みたいなことばかりしているけれど腐っても軍属というか、反射的に身体を整えてしまったが勲章って……

「相変わらずおっぱいちっちゃいな」

私の胸元に勲章を付けながらおっぱいを触られたので殴り飛ばした。
それから少し冷静になって胸元の勲章と見てみると………これは。

「甲種勲章じゃないこれ?!こんなの貰えないわよ!あんたがあんなに欲しがってたやつじゃない!」

「いてて……もう叢雲容赦無いね」

「容赦無く私の胸触ったあんたに言われたくないわよ!ってそうじゃなくてっ!」

ダメだダメだ、だからこういう反応をしちゃいけない。冷静になるのよ私。

改めて勲章を見返すが間違いない。
私のような駆逐艦に不釣合いな艶やかに光る勲章だ。

「すっげー欲しかった。で、ちゃんと司令部から頂いて手に入れられた」

「だからあんたがちゃんと持ってなさいよっ」

「あげたかったんだよ叢雲に……だから欲しかったの」

「ばば、馬鹿じゃないのっ!」

「馬鹿だけど馬鹿じゃねーよ。俺の艦隊だけど、艦隊を育てたのは叢雲と一緒だからさ」

「っ………」

「だからそれは叢雲にあげるの」

「駆逐艦なんかにこんな大それた勲章なんて似合わないわよ」

「大丈夫だよ似合ってる。艦隊の皆もそう思うって、叢雲いつも頑張ってるんだから」

「ていうか何か恥ずかしい、もうっ」

何か目頭も熱くなってきたのであいつから顔を反らした。
すごく嬉しいんだけど静まれ!私の涙腺!

「叢雲」

「あにぃよ?」

ほらもう鼻声になってる。

「ありがとう。今までもこれからも」

ばかやろーーーーーーーーっ!

ダムが決壊したので私はコタツに頭から突っ込んだ。
指先で撫でる勲章の感触を確かめながら……












E5甲クリアしました。
終わってみれば(ry






わらすいさんごめんなさい.jpg




わらすいさんゴメンナサイ・・・
posted by 夜月姫野 at 13:48| 群馬 ☔| Comment(0) | オナニー小説 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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